菓子楊枝
16代金谷五良三郎:金谷五良三郎工房

和菓職人が伝統工芸の職人とコラボする「蓮葉-Hasuha-」
シリーズ第1段は【第16代 金谷五良三郎】さんとコラボレーション。
普段は水差しや建水、火箸といった茶道具を製作されておられる金物師さんです。

菓子楊枝

菓子楊枝は黒文字とも呼ばれます。
これはクロモジという植物の枝を使うことが多いから。
本来、楊枝といえば柳の枝の皮付きのものだったのですが、織部の庭に黒文字の垣があり、 ある時それを折って楊枝にしたところ、香りがよいという事で以降使われるようになったと言われています。
茶事では亭主が削った黒文字を菓子に添え、客はそれを持ち帰ることが習わしとされています。
客は一期一会の証として楊枝一本を懐にしまうのです。

現代、お稽古や大寄せの茶会では、お客が懐紙と共に菓子楊枝を持参することが多くなりました。
しかし、このような経緯からか、"菓子楊枝"というものがあまり重要視されないまま今日に至っているのような気がします。
和菓子屋といたしましては「なるべく美味しくお菓子をお召し上がりいただきたい!」と考えておりますので、 直接お口に触れるカトラリーは、とても重要な要素です。
そんな訳で、見た目も美しく食べ心地がよい菓子楊枝を目指して、金谷五良三郎さんにご相談させていただいました。

製品の特徴

○お菓子の横に置くだけで、"絵になるサイズとシルエット"
本来の黒文字は6寸(約18cm)と言われておりますが、よく目にされるサイズは3寸程度のものが多いかと思います。
金属製の物の場合、ある程度の長さをもつ方がエレガントに見えます。また、男性用、女性用と分けられる事もありますが、 細長いシルエットは使っている姿も美しく見せるので、男女問わず統一のサイズと致しました。

○切りやすく食べやすい"刃の薄さと角度"
金属製のカトラリーは薄く製造できるため口にお菓子を運んだ後、スッと離れてくれます。
特に"幻日"はチタンで薄く作られているため軽やかな食べ心地となります。
お菓子を切る際にも金属製の薄い物が重宝します。
上生菓子はなるべく「サラっとした」口あたりを目指して作られる事が多いのですが、ざっくりとした楊枝で切られた菓子の断面はざらっとしてしまう事があるのです。

○お手入れに手間がかからない"表面加工"
全ての商品が水、ぬるま湯で洗う事ができます。
使い捨ての物より、せっかくだから長く使える良い物を、と思うからこそ、手軽にお手入れいただけるように致しました。
金属研磨などをされると表面の加工が落ちてしまいますのでご注意ください。

○持っている姿を美しく見せる"和の意匠"
長さや形もそうですが、よりエレガントに見えるよう『和の意匠』をモチーフにしています。
斬新な素材に対して、伝統的な金属加工技術[荒槌目]によって文様を施した"幻日"
最も人気のある意匠の一つを使いながらも、よりモダンにより美しくアップデートさせた"立鶴"
方向性は違いますが、素材、技法、モチーフの中で、古い物と新しい物が混じり合う現在の『和』の形を表しています

幻日

あまり茶道具では使われない素材である「チタン」。
その斬新な素材に、電極を挟んで虹色を浮かび上がらせるという特殊な加工を施しています。
電極と聞くと科学実験のようなイメージですが、自然現象の偶然性から生まれるその文様は、炎によって焼かれた器がに同じ模様が無いように、一つ一つ表情を変えるのです。
"幻日"という銘も太陽から離れた位置に光が見えるという大気光学現象の一つから命名致しました。
もちろん手作りの金属工芸では全く同じものございません。そんな中でもさらに偶然の作用を施す事で、一本一本を世界に一つだけの作品に仕上げています。
薄く伸ばされた刀身は日本刀のような空気感を醸し出しています。

立鶴

白銅は銅を主体とした合金。
同じような素材は西洋のカトラリーに良く使われており、日本古来の伝統的な手法で金或いは銀がメッキ加工されています。
表面はつるりと光るタイプではなく、[砂吹き]とよばれる少しマットに見える加工に仕上げており、写真など撮映される際も上品な存在感を醸し出してくれます。
また日常使いいただけますよう、お手入れも簡単な仕様となっております。


菓子楊枝 material Price
幻日 チタン 電極文様荒槌目 11.000(tax in)
立鶴 金 白銅 金メッキ砂吹き仕上げ 11.000(tax in)
立鶴 銀 白銅 銀メッキ砂吹き仕上げ 11.000(tax in)