稲垣稔次郎
日本の染織家。
重要無形文化財「型絵染」(人間国宝)の保持者。
京都市下京区出身。
京都市立美術大学教授。
第15回国画会展に「西瓜の図」を出品し、国画会賞を受賞。
『二匹の虎』
伝統的な型染の制作技法を踏襲しながらも、その制約の中で意匠を凝らした作品を生み出しました。
型染は、渋紙で型を作り、布の上に置いて糊を置く、そのあとに布を染めることで、糊の置いた部分以外を染めていくという技法です。
型を制作する場合には、"吊"と呼ばれる図柄のつなぎ目を型の枠とつないておく箇所を作らないといけません。
一方、一度型を作ってしまうと、連続して何回も同じ文様を作ることができるという利点もあります。
そのため、連続して柄を作っていくようなものによく使われていた技法でした。
稲垣はその欠点である"吊"の部分を巧みに図柄に盛り込み、また、同じ型を連続してリズムカルに配置、また、染めの段階でも多色を使雨など、
絵画的な作品制作を行いました。
それは「型染」の技法を使いながらも、「型絵染」と呼ばれる、新しいジャンルを確立しました。
また、型や染の技術力の高さとは裏腹に、「小綺麗ばかりでは面白みにかける」とかすれや滲みを許容していました。
モチーフとしては、平家物語のワンシーン、京都の神社仏閣、お祭り、居を構えていた京都桂に沢山あった「竹」、そして、自らの干支でもあり思い入れのあった「虎」
などがあります。
今回の『二匹の虎』は同じような形の虎の型を角度を変えて使うことにより、2匹の虎の性質の違いを描き分ています。
シンプルな線で構成され、丸みを帯びた可愛らしいフォルムが特徴的で、1955年頃制作されました。
和菓子のコンセプト
全体は虎の丸みを帯びたフォルムを
中の寒天は,型紙の地紙(じがみ)として用いられる渋紙(しぶがみ)をイメージしています。
染料に見立てた黒蜜をかけてお召し上がり下さい。
(写真には写っておりませんが、別添えの黒蜜をかけてお召し上がりいただきます。)
展示と販売
京都市京セラ美術館ミュージアムカフェ ENFUSE様、京都市京セラ美術館(京都市美術館)様にご協力いただきました。
京都市京セラ美術館 コレクションルーム春の展示期間中、ENFUSE様にてご提供させていただいております。
京都市京セラ美術館
[2023 夏期]コレクションルーム 特集「人間国宝 稲垣稔次郎 遊び心に触れて」
※観覧料等詳細は、美術館サイトにてご確認下さい。
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20230623-20230924
*参考資料
作品について、今季のコレクションルーム担当学芸員の長尾様にレクチャーをいただきました。