杉本博司 瑠璃の浄土
京都市京セラ美術館で開催された「杉本博司 瑠璃の浄土」の特別企画として和菓子を制作させていただきました。
メインビジュアルにも使用されている代表的な作品「opticks」シリーズは世界初公開ということもあり大きな話題になりました。
「opticks」
プリズムを通した朝日を白漆喰の壁に写し、その光をポラロイドカメラで撮影し制作された作品です。
Opticks-Japanese — Hiroshi Sugimoto
和菓子版「opticks」
今回、和菓子を制作するにあたって、平面ではございませんので、上から見ると青〜暗闇のグラデーションを描くように調整されたお菓子とさせていただきました。
展示内容とスパイス
「瑠璃の浄土」というタイトルの通り、仏教的な浄土がテーマとされています。
和菓子の世界では仏教とともに伝わった古いお菓子がいくつかございます。
中でも遣唐使が中国から持ち帰っものは「唐菓子」とよばれているのですが、シナモンなどのスパイスを使ったものがございます。
その中で「歓喜団」という湯でた団子のようなお菓子(現存するものでは油で揚げたものなど)がございまして、元を辿っていくとインドの「モーダカ」
というお菓子が源流だそうです。
インドのお菓子では「カルダモン」がよく使われますが、中国に伝わった際に「シナモン」に変わっていったそうなのです。
今回は時代を遡り、「カルダモン」を使用しました。
和菓子にスパイスというのはあまりない組み合わせです。
下の黒い部分は、在来品種のサトウキビに拘って和三盆等を作られておられる阿波の服部製糖所の和三盆糖蜜で色付け風味付をさせていただきました。
和三盆糖蜜のナチュラルな酸味と苦味、和菓子の甘さと食感、スパイスの香りが合わさって、夏らしい爽やかな和菓子になっております。
企画
京都市京セラ美術館ENFUSE様にご企画いただきました。また、お菓子は【瑠璃の浄土】展示期間中限定でENFUSE様にてご提供させていただきました。